11話 あなたが好きなのは私じゃない

動機:A 基準:A 評価:A
比呂美は結局一人暮らし。
眞一郎は乃絵とは会わず。
眞一郎を一人暮らしの部屋に招いて朝ごはん、まさかこの私がメガネにやられるとは思わなかったけれど、比呂美に完敗です。
それなのに眞一郎は乃絵の事をばかり想うのね。
全部ちゃんとする前に比呂美は既成事実。
これで眞一郎はコンプリート。
愛ちゃんと三代吉が戻るとは思わなかった、友達からだけれど。
セーター、編むまで見届けたいけれど。
蛍川は比呂美に露骨なファウル、試合中に乗り込む4番かっこいい。
三代吉に乃絵の呪いがかかってなかったってよ。
夜中に思わず笑っちゃったよ。
何もちゃんとしていない眞一郎に父親の笑顔のプレッシャー、これぐらいじゃないと造り酒屋の当主はやっていられない。
お風呂上がりにパジャマでメガネでガリンコ食べて携帯電話、一人暮らしはいいものよなあ。
電話をする4番もかっこいいけれど。
4番には話をさせずに一刀両断、4番が好きなのは比呂美じゃない、あの子だけ。
比呂美強すぎる。
そしてあの子が帰ってこない。
この乃絵の未帰宅→4番→比呂美→眞一郎の電話のラインがすごいんだよね。
もともと対外的には4番→比呂美、比呂美→4番、眞一郎→乃絵、乃絵→眞一郎のラインがあって。
対内的には4番→比呂美、比呂美→眞一郎、眞一郎→比呂美、乃絵→眞一郎があって。
さらに内面対外的には4番→乃絵、眞一郎→乃絵のラインが見えていて。
この状況で乃絵の不在を比呂美に連絡する4番は、4番からしたら眞一郎に直接連絡したいけれどできないから比呂美に伝えたんだろうけれど、比呂美からしたらとっても複雑なのよ。
乃絵のために4番と付き合わされていると比呂美は思っているわけで、その乃絵は現在眞一郎と形の上では付き合っていて、でも実際は眞一郎はもう自分のものになったと思っている訳で。
あるいは比呂美が4番とバイクで事故した時に眞一郎が乃絵の目の前で比呂美に抱きついたのと同様に、今回乃絵の元に眞一郎を行かせたら今度は乃絵に抱きつきかねない(体か、もしくは心か)と思ったのかもしれない。
基本的に比呂美は無意識のうちかそれとも確信してか自分に都合の良くなるほうへと選択肢を選ぶ、あるいは選択肢自体を作ってきた子なので、当然ここでもそうなるわけなの。
この思考回路を組む時間が、いったん眞一郎の番号を打ってから携帯電話を閉じる行動につながるわけで。
結局眞一郎に連絡を取ったけれど、今回連絡を取る事で眞一郎と乃絵の間に決着がついて比呂美自身が心置きなく4番と縁を切って眞一郎と幸せになれると考えたうえで、あるいはそれさえ無意識で再び携帯電話を開いたとすれば、比呂美にはもう到底かないっこないって事ですよ。
で、結局乃絵が帰らない事を聞いた眞一郎が会話も終わらせずに電話を切っちゃった時の比呂美の形相、私にはそれが阿修羅のごとく見えましたよ本当に。
「この男、この期に及んで」というのが心の底からふつふつと。
鳥小屋から出し、地べたとともに飛ぶ乃絵。
正直に言いましょう、死ぬんじゃないかと思ったよ。
あるいは比呂美が言葉化…いや、やめておこう。