第1話 狼とふとした亀裂

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狼と香辛料II
あれから1年以上、ホロとロレンスにまた会えるとは思ってもいなかったよ。
生まれ故郷の夢を見たというホロを抱き寄せるロレンス。
素直な気持ちを言ってもいいかや?
しっぽを見られて何かや?
とかあったかいから膝掛けの下に入れてくれとかカイロ代わりじゃないとか一応褒めておくとか結局入れてふたりで笑いあうとか、このもう勝手にやっててくれ感がまた味わえるんだぜ。
お礼に贈り物だって言われてふぇ?って喜んで羽根かよってふてくされて腹いせに体当たりとかもう。
暖炉はひとつでいい、ベッドもひとつでいい。
お前は俺の好みでないって言われてしょんぼりするようなわっちが好きなんじゃろ?
もう勝手にやってろよ。
ホロのために騎士になったのは一度や二度じゃないだろうロレンス。
これからも大事にしてくりゃれ。
好みじゃないって言って悪かった、そんなぬしが好きじゃ。
ベッドはひとつでいいから、もう勝手にやってろよ。
魚行商人アマーティに声をかければ、勝手にホロに惚れてくれて工面ぐらいしてもらえるだろうというロレンスの作戦勝ち。
ふた部屋でなくてもひと部屋で結構、残念ながらベッドはふたつですが。
ロレンスの馬車にはパッとしない釘とパッとするホロが乗っておる。
雄はやさしくするとすぐ図に乗りんす。
ヨイツを懐かしむホロに複雑な表情のロレンス。
ぬしに出会えて本当に良かった。
昔のお前はそんなんじゃなかった。
たわけがおるぞ。
ニョッヒラからひとりで帰れって、孤独は死に至る病じゃ。
どうせ別れられないのが分かっているのに。
旅の途中も旅の続きもベッドの中もひとりじゃないくせに。